耐震診断の基準(is値)
is値とは構造耐震指標のことをいい、地震力に対する建物の強度、靱性(じんせい:変形能力、粘り強さ)を考慮し、建築物の階ごとに算出します。「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」の告示(平成18年度国土交通省告示 第184号と185号 )により、震度6~7程度の規模の地震に対するis値の評価については以下の様に定められています。
is値が0.6以上 | 倒壊、又は崩壊する危険性が低い |
is値が0.3以上 0.6未満 | 倒壊、又は崩壊する危険性がある |
is値が0.3未満 | 倒壊、又は崩壊する危険性が高い |
耐震性能を診断する方法
耐震性能は、以下の式により求められます。
is = E0×SD×T
E0:保有性能基本指標(建物が保有している基本的な耐震性能を表す指標)
→is 値を求めるにあたって最も重要な指標
= C (強度の指標) × F (粘り強さの指標)
SD:形状指標(平面・立面形状の非整形性を考慮する指標)
1.0 を基準として、建物形状や耐震壁の配置バランスが悪いほど数値が小さくなる
T :経年指標(経年劣化を考慮する指標)
すなわち、
① 建物の強度が低く、粘り強さも弱い
② 建物形状やバランスが悪い ⇒ 耐震性能が低い
③ 建物の劣化が激しい
is値は耐震診断を行うことで求められ、耐震診断は第一次から第三次までの3種の診断レベルがあります。診断の目的、対象建物の構造特性に応じて、適用する診断レベルを選択しますが、「強度」と「粘り」を求めることはどの診断レベルにおいても共通しています。一般的に『耐震診断』と言う場合は二次診断を指すことが多いと思います。
地震被害を受けた建物のis値分布
上記グラフの引用 「耐震診断・耐震補強の現状と今後の課題」
中埜良昭(日本建築学会2000.1.14)
1:被害地震を未経験の建物のis値の分布
3:1968年十勝沖地震及び1978年宮城県沖地震で中破以上の被害を受けた建物群のis値分布
(is値が0.6以上の場合は、中破以上の被害を受けていない)