木造住宅の耐震診断
耐震診断が可能な木造住宅は在来軸組構法(柱・梁などの主要構造部材が木材の軸組みによって作られている)や枠組壁工法(通称:ツーバイフォー工法)及び伝統工法(木と木の組み合わせで作られている)で、木質系プレハブ工法や丸太組工法の住宅は対象外とさせて頂いております。
木造の耐震診断とは
大地震(震度6強~震度7の地震)が発生した際に、木造建物(木造住宅)の倒壊の可能性に関しての診断のことを言います。
木造の耐震診断の種類
お客様のご依頼に基づいて実施する木造住宅の耐震診断には「一般診断法」と「精密診断法」の2種類があります。通常の木造住宅は一般診断法で耐震診断を行います。 上記の診断法以外に一般の方が簡易に行う事ができる「誰でもできる我が家の耐震診断」があります。
木造住宅の耐震診断料金(見積り依頼はこちらから)
延床面積が100㎡程度で在来軸組構法の木造2階建で、
税別60万円~100万円(図面や検査済証が現存する場合)
※但し、立ち退き交渉を目的とする場合を除く
ご注意ください、耐震診断の料金だけで 業者を選ぶと・・・・・・
耐震診断の後に必要となる補強案の作成費用や耐震補強実施設計費用、そして最も費用を要する耐震補強工事の費用など、費用全体がどの様になっていくかも考えなければなりません。
耐震診断の費用は安かったが、補強案の作成や補強実施設計に要する費用、そして耐震補強工事の費用において、業者に説明されるまま、過剰な補強工事をしてしまい、必要以上のお金をかけしまった、と言う例は決して少なくありません。
日本耐震診断協会では、耐震診断の費用を必要以上にお安くしてお客様より耐震診断のご注文を頂くと言うことはしておりません。
日本耐震診断協会は、正確な耐震診断、無駄の無い補強設計(過剰な補強設計はしない)、を行なう事により、お客様にご納得、ご満足して頂けるよう努めております。
木造住宅の現地調査のご紹介写真(古民家の現地調査)
日本耐震診断協会は木造住宅の耐震診断から耐震補強設計まで行います
木造住宅の耐震診断(一般診断法)の費用
木造住宅の耐震診断は2階建、延床面積・約100㎡、図面や検査済証が有る場合で、40万円~50万円です。人によっては高いように思われるかもしれませんが、耐震診断の料金だけで業者 を選定されるのは危険なことだと思います。その後に必要となる補強案の作成費用や耐震補強実施設計費用、そして最も費用を要する耐震補強工事の費用など、費用全体がどの様になっていくかも考えなければなりません。
耐震診断の費用は安かったが、補強案の作成や補強実施設計に要する費用、そして耐震補強工事の費用において、業者に説明されるまま、過剰な補強工事をしてしまい、必要以上のお金をかけしまった、と言う例も少なくはありません。日本耐震診断協会では、耐震診断の費用を必要以上にお安くして、そうしてお客様よりご注文を頂くと言うことはしておりません。日本耐震診断協会は適正な料金で、正確な耐震診断、無駄の無い補強設計(過剰な補強設計はしない)を行ない、全お客様にご納得、ご満足して頂けるよう努めております。
木造住宅の耐震診断の現地調査について
木造住宅の現地調査は、耐震診断に使用する評点を適切に導き出す為に行います。
現地調査の内容は建築時の図面が有る場合と、無い場合によっても変わってきます。
図面が残っていない場合は建物を実測して、木造住宅の耐震診断に必要な図面を作成する事が必要となります。ですので耐震診断のコスト面では建物の実測及び耐震診断に必要な図面作成の為の費用(料金)が余分に必要となります。
木造住宅の一般診断法では、現地調査は数時間から長くても1日程度で行います。
実際には住宅の外観や軒下、天井裏の非破壊での目視調査を行いますが、ごく稀には、部分的な解体調査が必要になる場合があります。
また目視調査により建物全てを調査することは実際には困難であるので、現地調査にあたる調査員(建築士等)の推測に頼る事もあります。
しかしながら出来る限り現況の現地調査を行い、どの様に耐震診断に反映させるかが大切です。
木造住宅の耐震診断の現地調査項目と調査内容について
現地調査項目は大きく分けて
- 1.耐震診断の計算上必要な項目
- 2.木造住宅の安全性や耐震性を調べるのに必要な項目
- 3.老朽化・劣化に関しての項目があります。
2.の項目は直接には木造住宅の耐震診断(一般診断)には使いませんが、耐震性の性能上や建物周囲への安全性と言う観点から重要と思われる項目です。
【日本耐震診断協会が実際に行った
木造住宅の耐震診断(一般診断法による)の所見のサンプル紹介】
木造住宅の耐震診断 所見のサンプル①
本調査は一般財団法人日本防災協会による2012年版「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づいて、調査及び耐震診断計算を行ったのものである。
○○様邸は平成8年に建築されて、19年が経過している。
まず外観から見て行くと、屋根は彩色セメント版、外壁は窯業サイディングであり、重い材料は使用されていないので耐震的には有利である。
床下換気口付近にひび割れがあるが、ひび割れの幅は0.25mm程度のものであり、大きな問題ではないと思われる。床下換気口を見ると、冬期は冷えると言う理由で発砲スチロールにて塞がれている。湿気が高くなる夏季にはその塞がれている部分を解放するようにした方が良い。
建物の内部を見てゆくと、壁、天井などに特にひび割れ等は発見できない。
建築当初の図面と現況の建物は洗面部分が少し変更になっている位で他は変更はない。現地調査日はユニットバスの入れ替え中で、内部構造及び筋交いなどが見ることが出来、建物が健全な印象を受けた。
小屋裏は、小屋裏物置の壁を開けて、筋かい位置などは4分の1程度の部分は正確な調査が可能であった。
床下は、キッチンの収納庫から見てゆくと、乾燥状態が保たれており、基礎のコンクリート立上り壁にも特にひび割れは見当たらない。
木造の在来工法建物の耐震は主に壁が受け持つ。この家の耐力を受け持つ壁の中にある筋かいは、ほぼ図面通りに挿入されてあり、図面以上に入っている部分もあった。筋かいは量的にはかなり多く入っている。量が多くあればそれに比例し、強い建物と一般的には言える。
しかしこの建物1階の南側はLDK、玄関、和室と三室があり、開口部が大きく取られ、この部分に筋かいが少なくバランス良く配置されていない。
木造住宅の耐震診断の一般診断法では、上部構造を評点で表し、下記のように判定している
- 1.5以上 倒壊しない
- 1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
- 0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性が有る
- 0.7未満 倒壊する可能性が高い
○○様邸の上部構造の評点は
- 2階 X方向 1.44
- 2階 Y方向 1.10
- 1階 X方向 0.49
- 1階 Y方向 1.10
と言う数値となった。建築後19年経過した建物であるが、耐震的には高い数値である。
数値からみて1階のX方向の評点が0.49というものであり、耐震補強する場合考えられるケースは、補強案図に示したようにLDKに一箇所、和室に一箇所強い耐力壁を配置する事が可能であれば、バランスのとれた地震に強い建物になるであろうと考える。
木造住宅の耐震診断 所見のサンプル②
本調査は一般財団法人日本防災協会による2012年版「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づいて、調査及び耐震診断計算を行ったのものである。
○○様邸聞き取り調査によると、大正時代に建設されて何度かの増改築が施されて何度かの増改築が施され現在に至っている。
本建物の「木造住宅の耐震診断」は2009年7月に一度行われている。今回の耐震診断は2011年に施行された改修工事(耐震補強工事)により、今現在の建物がどの程度の耐震性能を有するかを判断したいとのご依頼で実施した者である。
まず前回の耐震診断と今回の耐震診断の異なる部分があり、主には次の3項目である。
①木造住宅の耐震診断の方法が2012年版において若干の改定がなされていおり、採用される数値などに少し違いがある。前回の木造住宅の耐震診断には耐力要素として認められていなかった耐力壁に囲まれている垂れ壁または腰壁も耐力要素があるとみなされている。今回は「2012年度版の木造住宅の耐震診断と補強方法」に準拠し耐震診断を行った。
②○○市○○区は非常に悪い地盤に該当する地域となっている。
それによると一般地域より1.5倍の数値の耐力壁が必要となる。2009年に実施した耐震診断では一般地域での計算で木造住宅の耐震診断を行っている。
③2009年の耐震診断の計算では屋根仕様を非常に重い建物(土葺き瓦屋根)を採用しているが、今回の耐震診断の現地調査で屋根瓦を外して見ると、土葺きではないので重い建物に変更し、その数値を採用した。
今回の木造住宅の耐震診断の現地調査では、外壁・雨漏り跡、内壁、床の傾き等はなく健全な状態である。
基礎は少しひび割れが見られる。1階は2001年の改修工事(耐震補強工事)において和室廻りを合板などで補強したために、耐震性能は向上したものと考える。
1階の和室(1)、和室(2)の基礎は壁の下部分だけではなく中間に2つの通りの立ち上がり基礎がある。この部分の基礎は強いが、今回の木造住宅の耐震診断(一般診断)では数値となっては表れない。
2階小屋裏を見ると、大正時代に建てた住宅には珍しく一部トラス構造となっていて補強金物、ボルト等が使用されている。小屋裏は丈夫であるが、木造住宅の耐震診断の数値には反映されない。
また耐力壁は構造用合板7.5mmをN50の釘を@150mm打ちで施工するが、現場ではコンパネ12.5mmを全長≒40mm ビス頭径4.8mm 太さ≒2.4mmの木皿ビスを使用している。尚このビスは構造用合板の施工に使用するビスではない。
木造住宅の耐震診断(一般診断法)では、上部構造を評点で表し下記のように判定している。
- 1.5以上 倒壊しない
- 1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
- 0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性が有る
- 0.7未満 倒壊する可能性が高い
○○様邸の上部構造の評点は
- 2階 X方向 0.38
- 2階 Y方向 0.41
- 1階 X方向 0.91
- 1階 Y方向 0.98
以上の数値となった。
2001年の改修工事で1階の耐震性能は数値上かなり向上している。2階も向上しているが、0.5未満となった。この低い数値の原因は、まず地盤が非常に悪い地域は一般地域の1.5倍の耐力壁を設ける事となっていること、全体の壁のバランスが偏っていること、特にベランダ側に少ないことであろうと推測する。
1階部分は2001年の改修工事でバランス良く壁が増えたこと、特に和室廻りの壁が増えたことは数値が高くなった要因である。
この建物は、小屋裏の一部トラス構造、1階和室部分の立ち上がり基礎が多い事を考えると、今回実施した、木造住宅の耐震診断結果の数値より若干高い耐震性能を有すると推測する。
壁の配置などから考えると、1階、2階とも西側のベランダ外部側に壁があるとバランスが良くなり耐震性能数値も向上するという結果になるであろう。
しかし耐震補強工事の結果から判断すると、評点が1.0を超えていないので、耐震補強工事をしたとは、評価できない。
木造住宅の耐震診断 所見のサンプル③
○○様邸は平成5年に建築されて、21年が経過している木造軸組方法で建てられた家屋である。その後外壁補修、雨漏り補修等は何度か施工されて、建物は健全に保たれている。今回は水道の修理工事の際に、建物の外壁に外配管がかなり多くあり、耐震的にも心配されての木造住宅の耐震診断(一般診断法)の業務依頼である。
建物周囲を目視にて調査してみると外配管は殆どが窓の下にあり、耐力壁部分も筋かいの位置と異なる部分にあるので、配管が筋かいを傷めた箇所は無いと推測する。 確認申請図面と実際の建物は平面上少し変更があるが、概ね同じである。
筋かいは図面では、30mm×90mmとなっているが、実際は45mm×105mmであり、耐震の数値上では1.37倍となる。
しかし確認申請図面より数が減っている。筋かいの全ての数を天井裏、小屋裏からの目視で正確に数えることは断熱材等があり出来ない状況である。
今回の耐震計算での筋かいの数は、小屋裏及び天井裏の調査から推測してやや少なめに見積っていった。
現地調査では、外壁・雨漏り跡・内壁・床の傾きなど健全な状態が保たれている。床下も全体的に健全であり、台所の床下・洗面の床下も乾燥状態である。基礎も特におおきなひび割れはない。
建物は2世帯住宅として建てられたため、1階と2階は殆ど同じ平面である。したがって、1・2階とも柱が同じ位置にあり荷重などはスムーズに地面まで伝達される構造になっている。
木造住宅の耐震診断では、上部構造を評点で表し、下記のように判定している
- 1.5以上 倒壊しない
- 1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
- 0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性が有る
- 0.7未満 倒壊する可能性が高い
○○様邸の上部構造の評点は
- 2階 X方向 0.88
- 2階 Y方向 1.10
- 1階 X方向 0.62
- 1階 Y方向 1.02
と言う数となった。建築後21年経過した建物であるが、耐震的には高い数値である。数値から見て1階のX方向が0.62というものであり、耐震補強をする場合は1階のX方向で南側近辺に大きな開口部が多く集まった場所がある。この近辺に耐力壁を設けて補強する事で、耐震上ではより強い建物になると考える。
木造住宅の耐震診断 所見のサンプル④
本報告書は○○様の御依頼により、○○県○○市にある木造住宅2階建を一般耐震診断法によって実施した結果をまとめたものである。
本耐震診断は、(一財)日本防災協会による201年版「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づいて、現地調査及び耐震診断計算を行ったものである。
○○様邸は平成27年に完成し、○○○○取り付けの時に壁の中にある筋かいを欠損させたので、この事が建物の耐震性を損なったかどうかを判断する為に今回の依頼を受け、耐震診断を行った。
本木造2階建住宅は、2階にLDKがあり、広い空間を構成している。
1階には洋室、納戸、クローゼット、トイレ、玄関、シューズクローク、廊下など比較的多くの部屋が有り、それに伴い多くの壁が配置されている。
このことが建物を安定させ、耐震的にも強い構造となっている。
耐力壁となる筋かい、及び構造用合板も多く挿入されている。
木造住宅の耐震診断では、上部構造を評点で表し下記のように判定している。
- 1.5以上 倒壊しない
- 1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
- 0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性が有る
- 0.7未満 倒壊する可能性が高い
○○様邸の上部構造の評点は
- 2階 X方向 2.18
- 2階 Y方向 2.01
- 1階 X方向 1.55
- 1階 Y方向 1.87
と言う数値結果となった。全体的に耐震的には高い数値を示しており、地震に対して強い建物であると判定する。
問題の○○○○工事の際に筋かいを欠損させた箇所であるが、45×90mmの筋かいを○○mm欠損させて、最も細い部分で○○×○○mmとなっている。この壁の部分は、確認申請の際に用いる壁倍率では5.0の強い壁となっている。
細かい数値をあげると、9mmの合板(壁倍率2.5)筋かいたすき掛け(壁倍率2.0×2箇所)合計で壁倍率6.5という強い壁であるが、確認申請時の計算では5.0以上の数値を採用していけない基準となっている。
筋かい90mmが○○mmになったので面積は○○%になっている。壁倍率は2.0×○○%=○○+2.0+2.5=○○となる。
確認申請上では5.0の数値を採用しなくてはならないが、強さは充分に確保できているものと判断します。
筋かいの欠損箇所を調査員も目視で確認したが、きれいに円弧で欠けており、その部分にひび割れも入っていないので、上記の上記の○○(壁倍率)の耐力は保たれていると考える。
耐震上は筋かいに欠損のある現状のままでも耐力は確保出来ている。
しかし、新築の家の筋かいを工事中の不注意で欠損させたことは事実であるので、元通りの45×90の寸法の筋かいを挿入すると地震に対してさらに安全であると判断します。
木造住宅の耐震診断 所見のサンプル⑤
本報告書は○○○様の御依頼により、○○市○○区○○にある木造2階建ての長屋住宅A棟(5住戸)を耐震診断の一般診断法によって実施した結果をまとめたものである。
今回調査した長屋住宅が建設されたのは、○○市の固定資産台帳によると、大正10年と記載されていることから、約○○年が経過している。その後何度かの増築が施行されており、最近では道路から向って右端の家が1階をバリアフリー工事をしている。当初の屋根は土葺き瓦屋根、壁は小舞竹土壁であったが、屋根は桟瓦葺になっており、壁は郎所の建物(3間半)の範囲で土壁が残っている。増築分の屋根は鉄板葺きまたは、ポリカーボネイト板等の軽い屋根となっているが、当初部分と増築部分は同一の建物であるので、桟瓦葺き(重い屋根を採用)として計算を行った。なお、増築部分には筋かいを挿入した可能性はあるが、屋根裏などを目視した範囲では筋かいは無かったので、計算には入れていない。
木住宅の一般耐震診断計算では上部構造評点を下記の数値で表す。
- 1.5以上 倒壊しない
- 1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
- 0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性が有る
- 0.7未満 倒壊する可能性が高い
長屋住宅A棟の上部構造評点は
- 2階 X方向 0.28
- 2階 Y方向 0.43
- 1階 X方向 0.04
- 1階 Y方向 0.46
という数値結果であり、1階、2階とも特にX方向が弱いと判定できる。
1階の道路側は店舗などに用いているため開口が大きく、耐力壁が無い。Y方向は、各戸の間仕切りが壁になっており、必然的に耐力壁となるが、1階及び2階ともX方向に壁が少なく、また壁の配置のバランスも良くない。
加えて経過年数が90年を超えており、外壁などのひび割れ、天井に雨漏りの跡があり、劣化点数が高く木造住宅の耐震診断の結果、上部構造評点がかなり低い数値となった。
相対的に考察すると、建築後90年以上経過して全体的に劣化していること、道路側に壁が無いこと、全体の壁のバランスが良くない事、強い地震に遭遇した場合の危険度はかなり高いと判断できる。
耐震補強で上部構造評点を1.0以上(一応倒壊しない)まで高めていくには、大規模な補強工事が必要であろう。応急的に補強を行う場合は道路側に耐力壁を配置する事が必要と判断します。