横浜市の倒壊リスクマンション 85%が耐震工事せず
横浜市は、市内の「大地震で倒壊する可能性がある」と診断されたマンションの約85%がいまだ耐震改修工事を行っていないことを公表しました。
分譲マンションの耐震補強工事については、一般的に住民の3/4以上による特別決議が必要になり、合意形成の難しさが大きな壁となっています。
横浜市のマンション耐震診断支援事業
横浜市において、マンションは居住形態として大きな位置を占めています。
阪神・淡路大震災では分譲マンションにも大きな被害が発生し、その後の建て替えや改修がなかなか進まないことが問題となりました。
これを受け横浜市では、1998年よりマンションの耐震診断の支援制度を創設。
1981年5月以前に旧耐震基準によって建てられたマンションのうち、支援制度の条件を満たすものを対象に耐震診断を進めてきました。
【耐震診断支援事業の対象となる建築物】
区分所有法が適用される分譲マンションで、以下のいずれかに該当するもの
・住戸数の半分以上に区分所有者本人が居住しているマンション
・階数が3以上かつ、延べ面積が1,000平方メートル以上のマンション
※延べ面積の半分以上が店舗など共同住宅以外の用途の場合は対象外
※診断の場合は、国、地方公共団体、地方住宅供給公社、独立行政法人等が所有する部分を除く
【制度の内容】
・予備診断(簡易診断)
図面確認や現地調査などにより、耐震性(本診断の必要性)を判定。
横浜市が診断費用を全額負担。
・本診断(精密診断)
予備診断の結果、「本診断の必要性あり」と判定されたマンションを対象に精密な耐震診断を実施。
本診断費用の3分の2を横浜市が補助。
住民の合意形成難しく 85%がいまだ耐震工事せず
1998年から開始した上記の支援事業において、2014年度までに簡易診断を行ったマンションは2,172棟でした。
このうち、本診断の必要性が認められたマンション269棟に対して建築士らによる詳細な耐震診断が行われました。
この結果、約82%の222棟が「大地震で倒壊する可能性がある」と診断されましたが、現在のところ、改修工事が完了したのは約12%の33棟のみ。
倒壊リスクがあるマンションのおよそ88%は耐震改修工事を行っていないことになります。
この状況について横浜市は、「住民間での合意形成が得られていないのが最大の要因」と指摘しています。
今後、改修費の補助制度などについての文書配布などを行うことで、引き続き改修を促していく方針ということです。