沿道の建物に耐震診断を義務づける条例が川崎市で制定

2011年3月に起きた東日本大震災は、それまでの災害に対する考え方を大きく変える巨大な大地震でした。
これだけ広範囲に被災地が広がると防災や救助などに多くの課題が浮かび上がり、その対策が重要な課題となります。
この度、平成27年5月に川崎市で制定された幹線道路の沿道にある建物の耐震診断義務化も、その典型例です。
災害時に通路を確保するための条例が登場
川崎市で制定された全国初となる条例の大きな特徴は、幹線道路の沿道にある建物の耐震診断を義務づけているところにあります。
世田谷町田線や川崎府中線、横浜生田線などがその対象となり、耐震診断の実施が必要なのは沿道にある旧耐震基準で建てられた建物の中から一定以上の高さになるもの、と定められています。
この条例が制定された目的は、災害時に幹線道路の沿道にある建物が道路を塞ぐように倒壊することを防ぐことです。
東日本大震災でもそうでしたが、1995年にあった阪神・淡路大震災の時も各地の幹線道路が倒壊した建物に塞がれ、救助のための通路を確保するために時間を要したということが教訓となっています。
この教訓を受けて国は2013年に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」という法律を制定し、川崎市の条例もこの法律が根拠となっています。
もちろん災害時に救助車両の通路を確保するという意味もあると思いますが、幹線道路の沿道には価値の高い建物、利用者の多い建物が密集しているということも耐震診断義務化の動機であることは言うまでもありません。
川崎市の耐震診断の動きは全国的に広がりを見せる構え

対象となる建物の大半は、個人または企業などが所有しています。
つまり耐震診断をするとなると費用を所有者が負担する必要があるため、これが耐震診断の実施率を向上させる上でのネックとなってきました。
そこで川崎市は条例制定にあわせて耐震診断の費用を支援する制度を設けることにしており、費用面の障害を取り除くことで街全体の強靱化に本腰を入れ始めています。
川崎市は首都直下型地震がいつ起きてもおかしくないと指摘されている地域にあるため、危機感の大きさがそのまま条例の制定という形に繋がりました。
こうした動きは国の法律が制定されていることもあって、日本全国の自治体に波及すると見られています。
建物の強度というのは見た目だけでは分かりません。耐震診断という科学的なアプローチによってはじめて正確な状態が分かるので、今度も街全体を守るという目的での耐震診断が広がりを見せていくと思われます。
