改修加速へ! 札幌市2016年から木造の耐震診断無料化
札幌市は2016年度から老朽化した木造住宅の耐震診断をこれまでの9割補助から無料化にすると発表しました。
これは札幌市の木造一戸建ての耐震化率は他の建物と比べても低いという背景からです。
施策の概要と耐震診断の必要性についても紹介します。
木造の耐震診断無料化への流れ
札幌市は平成27年5月11日から平成28年1月29 日まで(予定件数に達するまで)木造住宅耐震化の費用補助を行っていました。
木造住宅の耐震診断や耐震設計、耐震改修工事をする時の一部を札幌市が補助するというものです。
しかし、これらの補助があったのにも関わらず、木造一戸建ての耐震化率は81%と目標の90%に届かず、また他の種別の建物と比べても最も低いという結果から木造の耐震診断無料化に踏みきりました。
無料化によっての改修の加速に向けて期待が深まっています。
2016年5月から受付が開始されます。
補助対象となる木造住宅
木造住宅といってもすべてが無料化の対象とはなりません。
5つの条件をすべて満たした住宅が対象となります。
1つ目は札幌市内にある木造住宅(戸建住宅、長屋、共同住宅)であることです。
2つ目は昭和56年(1981年)5月31日以前に建築又は着工されたものであること、3つ目は地上階数が3以下で、木造部分は階数が2以下のものとされています。
また、4つ目は柱、梁等の主要構造部が木材の軸組によって作られた在来軸組構法で建設されたもの、最後に住宅部分の床面積が延べ床面積の2分の1以上のものとされています。
旧耐震基準と新耐震基準
1981年6月1日以前の旧耐震基準の建物は中地震に耐えるよう、震度5程度の地震に耐えうる住宅と規定され、大地震に対するチェックが行われていませんでした。
新耐震基準では地震による建物の崩壊を防ぐことに加え、建物内の人間の安全を確保することに主眼が置かれたため、震度6以上の地震で倒れない住宅と基準が変わりました。
このため、1981年5月31日までに建築または着工された建物については現在の新基準の規定を満たしていない可能性があります。そのため早急に耐震診断が必要なのです。
これまでの制度との差異は?
以前は、耐震診断にかかった費用の10分の9の補助(限度額は4万円の補助)だったものが無料化により、限度額も撤廃となりました。
また、耐震改修工事にかかった費用はかかった費用の23%の補助(限度額は40万円の補助)から3分の1へ引き上げられ、限度額も80万円に増やすとされています。
木造建築は火災リスクが高いだけでなく、倒壊リスクも高いため、今後の耐震化が進むことに期待が集まっています。