【栃木県】目標は20年度末までに住宅の耐震化95%
栃木県は2016年度より2020年度までの5年間の県建築物耐震改修促進計画案を公表しました。
計画案では5年間で住宅の耐震化95%を目標とするというものです。
しかしながら、2015年度末の耐震化率は目標値に満たない見通しとなっています。
概要を詳しく紹介します。
栃木県が公表した県建築物耐震改修促進計画案
これらの計画の目的は国の基本方針に基づきながら、住宅・建築物の耐震性を促進することにより県民の生命や財産を保護することとされています。
2007年1月に策定した計画を見直し改定したものとなっています。
東日本大震災から5年
東日本大震災から5年となる今、栃木県はさらなる耐震化率の向上を目指すために、耐震改修促進法に基づきながら耐震化促進のための施策として耐震診断や耐震改修制度の普及啓発を進めていきます。
また、県庁直下に震源を仮定した地震をM7.3、震源の深さを30kmと想定して耐震化を進めていくとしています。
耐震診断と耐震化
建築基準法改定により、1981年6月1日に新耐震基準が施行されました。それ以前のものを旧耐震と言います。
旧耐震基準の建物が新耐震基準に見合った強度を持っているかを調べることを耐震診断と言います。
耐震診断の結果、耐震性が不足していたとしても耐震改修を行うことで、現在の耐震基準と同じく大地震に対しての耐震性を確保することができます。
これが建物の耐震化です。
基礎の補強や梁や土台などの接合部の補強などがあげられます。
2015年度末の耐震化の見込み率
防災上重要な県有建築物については、97.8%を見込んでおり、目標の90%を上回るとされています。
しかしながら、これらの公共建築物は利用者の安全に加え、災害時に拠点施設となることからも早急な耐震化が必要とされています。
一方、住宅は82%、学校や病院、旅館などの特定建築物は89%と目標の90%に届かないという見通しになっています。
住宅の耐震化率のうち多くを占めるのは新築(建て替え含む)となっており、目標に届かなかった要因には耐震改修の遅れと新築戸数が少なかったことがあげられていますが、これは今後所有者の費用負担の軽減を図る必要もあると言えるでしょう。
2020年度末に向けて
想定される大規模地震における被害を最大限に減少させるために、2020年末の目標としては住宅と特定建築物では95%、防災上重要な県有建築物では100%という目標が掲げられています。
これらの目標を達成するためには、住宅では約45,000戸の耐震化、特定建築物では150棟の耐震化が必要とされています。
目標値に対しては厳しいとの声も上がっている中、2月28日までにパブリックコメントが実施されました。
今後、これらの目標値を達成させるためには更なる普及啓発のほか、環境の整備や所有者の負担軽減などの施策も必要と言えるでしょう。